「会議が始まったときには、もう資料を送っていた」
このように、過去の出来事を話しながら、「その時より前に済んでいたこと」を伝えたい場面があります。そこで役立つのが、過去完了形です。
前回の現在完了形の記事では、「今を基準に、過去を振り返る」という考え方を紹介しました。今回は、その基準を「過去のある時点」に移してみましょう。
1.過去完了形は「過去のある時点を基準に、さらに前を振り返る」表現
When the meeting started, I had already sent the file.
会議が始まったときには、私はすでにそのファイルを送っていました。
この文では、「会議が始まったとき」が基準です。ファイルを送ったのは、それよりも前になります。
ファイルを送る → 会議が始まる → 今
- started:基準となる過去の出来事
- had sent:その時より前に済んでいたこと
なお、基準となる過去の時点は、必ず同じ文の中に書かなければならないわけではありません。前の文や会話の流れから分かることもあります。
2.基本の形は had+過去分詞
主語+had+過去分詞
現在完了形では、主語によって have と has を使い分けました。過去完了形では、I、you、he、she、we、they のどれでも had です。
I had finished the report by noon.
私は正午までに、そのレポートを書き終えていました。
過去のある日の正午を基準にして、それまでに完了していたことを表します。by noon は「正午までに」という意味です。
had の後ろは「過去形」ではなく「過去分詞」
| 原形 | 過去形 | 過去分詞 |
|---|---|---|
| finish(終える) | finished | finished |
| send(送る) | sent | sent |
| write(書く) | wrote | written |
| go(行く) | went | gone |
- 避けたい形:had wrote
- 正しい形:had written
3.過去形・現在完了形との違い
メールを送る場面で、3つを比べてみましょう。
過去形:過去の出来事として伝える
I sent the email yesterday.
昨日、そのメールを送りました。
「昨日送った」という出来事を伝えています。過去形だから今と無関係、という意味ではありません。ここでは、過去のいつ起きたことかに注目しています。
現在完了形:今を基準に伝える
I have already sent the email.
そのメールは、もう送ってあります。
今の時点で「送信済み」であることを伝えています。
過去完了形:過去のある時点を基準に伝える
I had already sent the email when my manager called.
上司から電話が来たときには、そのメールをすでに送っていました。
「電話が来たとき」が基準です。その時点ですでに送信済みだったことを表しています。
整理すると、現在完了形は 「今までに・今までずっと」、過去完了形は 「その時までに・その時までずっと」 と考えると分かりやすくなります。
4.過去完了形の基本の使い方3つ
① 完了・結果:その時には終わっていた、結果が残っていた
When I arrived at the station, the train had already left.
駅に着いたときには、電車はすでに出発していました。
「駅に着いたとき」より前に電車が出てしまい、その時にはもういなかったという状況です。
I couldn’t open the door because I had lost my key.
鍵をなくしてしまっていたので、ドアを開けられませんでした。
先に鍵をなくしたことが、後の「開けられなかった」という状況の背景になっています。
② 経験:その時までに、したことがあった
Before that trip, I had never flown on a plane.
その旅行の前には、飛行機に乗ったことが一度もありませんでした。
今までの経験ではなく、「その旅行より前まで」の経験を話しています。今はどうなのかを直接述べている文ではありません。
③ 継続:その時まで、状態が続いていた
When we started working together, I had known Mika for five years.
一緒に働き始めたとき、ミカとはすでに5年来の知り合いでした。
知り合いになってから、「一緒に働き始めたとき」まで5年間続いていた状態を表します。
「完了」という名前でも、すべてが終わったという意味ではありません。この文も、その後に知り合いでなくなったという意味ではありません。
期間を表す for five years(5年間) や、始まりを表す since 2020(2020年から) などを使えます。現在完了形との違いは、期間を数える基準が「今」ではなく「過去のある時点」であることです。
5.過去完了形を使わなくてもよい場面は?
「ずっと昔のこと」だから使うわけではない
I visited Kyoto ten years ago.
10年前に京都を訪れました。
これだけなら、過去形で十分です。10年前でも100年前でも、「昔の出来事」という理由だけで過去完了形にはしません。
大切なのは、昔かどうかではなく、過去のある時点から振り返っているか です。
過去の出来事が2つあれば、必ず使うわけでもない
I finished dinner and washed the dishes.
夕食を終えて、食器を洗いました。
起きた順に並べて話しているので、どちらも過去形で自然です。
また、before(〜する前に)や after(〜した後で)で順序がはっきりしている場合、過去形だけで表せることがあります。
After I checked the file, I sent it to my manager.
ファイルを確認してから、上司に送りました。
After I had checked the file, I sent it to my manager.
ファイルの確認を済ませてから、上司に送りました。
どちらも「確認 → 送信」の順序です。後の文では、送る前に確認を済ませていたことを、過去完了形で明示しています。
「before や after があれば必ず過去完了形」「あれば過去完了形は使えない」のどちらでもありません。何を基準に、どの関係を伝えたいかで考えましょう。
6.否定文と疑問文の作り方
否定文は had not+過去分詞。had not は hadn’t と短くできます。
I hadn’t checked the file when the meeting started.
会議が始まったとき、私はまだそのファイルを確認していませんでした。
疑問文では、had を主語の前に出します。
Had you checked the file before the meeting started?
会議が始まる前に、そのファイルを確認していましたか?
Yes, I had.
はい、確認していました。
No, I hadn’t.
いいえ、確認していませんでした。
過去形の疑問文と混ぜて、Did you had checked …? とはしません。過去完了形の疑問文は Had+主語+過去分詞 …? です。
7.確認問題:3問だけ練習しよう
問題
- 過去完了形になるよう、正しい形を選んでください。
She had(wrote / written)the report by noon.
彼女は正午までに、そのレポートを書き終えていました。
- 「私が着いたときには、会議はすでに始まっていた」となるよう、start を過去完了形にしてください。
When I arrived, the meeting( )already( ).
- 次の文は、過去完了形を使っていないので間違いでしょうか。
After I checked the file, I sent it to my manager.
ファイルを確認してから、上司に送りました。
答えとポイント
- written:had の後ろは過去分詞です。wrote は過去形なので使いません。
- had / started:到着したときより前に会議が始まっていたので、had already started になります。
- 間違いではありません。 after が出来事の順序を示しているので、この文は過去形だけでも自然です。After I had checked … とすることもできます。
まとめ:まず「基準はいつ?」と考えよう
- 過去完了形の基本は had+過去分詞。主語が変わっても had を使う。
- 過去のある時点を基準に、それより前の出来事や、その時まで続く状態を伝える。
- 現在完了形は「今が基準」、過去完了形は「その時が基準」。
- 単に昔のことや、過去の出来事が2つあるというだけで、必ず使うわけではない。
- 否定文は hadn’t+過去分詞、疑問文は Had+主語+過去分詞 …?。
まずは「昨日、家を出たときには何を済ませていたか」を一つ思い浮かべてみましょう。
When I left home, I had already checked the weather.
家を出たときには、すでに天気を確認していました。
「その時」と「その前」を分けて考えてみましょう。
参考資料
文法説明の確認に使用した資料です。英文例と練習問題は、この記事の説明に合わせて作成しています。
- British Council:Past perfect(B1–B2)
https://learnenglish.britishcouncil.org/free-resources/grammar/b1-b2/past-perfect — 過去の基準時点、出来事の順序、単に昔という理由では使わないこと。 - British Council:Past perfect(文法リファレンス)
https://learnenglish.britishcouncil.org/free-resources/grammar/english-grammar-reference/past-perfect — 完了・結果、経験、継続、for/since。LearnEnglish Teamによる回答も含め、順序が明白な場合の過去形との併用を確認。 - Cambridge Dictionary:Before
https://dictionary.cambridge.org/grammar/british-grammar/before — before と過去形の使用例。 - Oxford Learner’s Dictionaries:Past perfect simple
https://www.oxfordlearnersdictionaries.com/grammar/online-grammar/past-perfect-simple — 肯定・否定・疑問の語順。
資料確認日:2026年10月27日